◆60歳以上の給与と年金制度
働きながら年金を受給する在職老齢年金は現在60歳から64歳の会社員は月給と年金の合計が月28万円を超えると年金が減額する仕組みとなっています。先ごろ厚労省はこの制度の見直し案を発表しました。現行制度では60歳から64歳の場合、月給+年間賞与の12分の1の合計額が28万円を超えると超えた額の2分の1が年金より減額されます。65歳以上はこのラインが46万円を超えた時に減額されます。
◆制度改革の見直し案は?
この減額が高齢者の働く意欲を妨げているとの考えから見直し案では次の案が出されています。その案は60歳代前半の人の減額する基準額を
①65歳と同じ46万円に引き上げる。
②60歳代の給与の平均額33万円に引き上げる。
③60歳代前半は年金の調整を廃止する。
以上の3つの案は年金の減額幅を縮小する為、働く高齢者の年金が増え、勤労意欲が向上し、60歳以上も働き続ける人が増えるという見方があります。
一方で現在は60歳から64歳の方の約120万人がこの制度で年間約1兆円が減額されていると言います。ですから調整廃止や縮小をすれば労使とも負担が増える事は必至となり、反発が予想されます。
また、在職老齢年金は事業主への賃金補助的機能を果たしている面もあり、労働時間の調整等で年金を減額されずに働いているケースが多いのも現状です。この場合はむしろ高齢者の労働需要を増やしている側面もあります。
◆支給開始年齢の引き上げも検討
厚労省は長寿で年金の受取期間が長くなっているため財政の悪化を防ぐために年金の支給開始年齢の引き上げも検討しています。1歳の引き上げで国の負担は年0.5兆減るとみています。但し年金受給者の多い団塊の世代への影響はなく、引き上げ案のうち最も早い時期の案を採っても平成24年の実施で、現在53歳以下の方の開始年齢が遅れる案となっています。若年世代に痛みが集中する形となり、引き上げも難しい状況で実施までには紆余曲折がありそうです。
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◆所定労働日数か暦日か
企業で賃金計算をする際に月給制の人が月の途中に入退社した場合や労災に遭って休業補償の計算をする際、年次有給休暇取得日の賃金、割増賃金の時間給等、日割額や時間割額を出す必要があることがあります。計算方法は各々のルールがあり、それに従い計算する事となっています。
◆月の途中の入退社の場合
賃金計算の開始日や締め日でなく、途中で入退社した場合は、日割計算をする事が多いのですが、入社日や退社日が会社の休日に当たっていた場合はその日を外して計算するのでしょうか。労働契約の開始日や終了日がたまたま土曜日や日曜日等会社の休日に当たっていたような時はその休日は計算から外してもよいし、入れて考えても良いのです。ただ労働者との雇用契約では休日の扱いをどうするのか事前に取り決めておく必要があります。日割計算をするには所定労働日数で計算をするのか、暦日数で計算するのか、又は、年間所定労働日数から月平均日数を決めておき、それで計算する等、会社のルールとして決めておかなくてはならないでしょう。
◆平均賃金の場合
平均賃金とは、事由が発生した時以前3か月間に労働者に支払われた賃金の総額をその期間の歴日数で除した額とされます。
労働基準法の平均賃金は次のような場合に計算を必要とします。そしてその額は平均賃金を下回らない事とされています。
①解雇予告手当を支払う場合
②労働者を会社の都合で休業させる場合
③年次有給休暇を取った場合
④業務上災害に対し災害補償を行う場合
⑤減給制裁は平均賃金限度額を超えない事
◆年次有給休暇の場合
年休手当は ①平均賃金を用いる方法 ②通常賃金を用いる方法 ③健保の標準報酬を用いる方法の3通りがありますが、月給制の場合は②の通常賃金を用いるのが一般的です。この場合の計算の分母は労働日数であり、暦日数では休日は年休の対象にならないのでこの計算には用いません。
◆割増賃金の基礎となる時間給額の計算
時間外労働に対する割増賃金の基礎となる時間給の計算は月によって所定労働時間数が異なる場合は1年間における1月平均所定労働時間で月給額を除す事となっています。
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労働基準法で規定されている年次有給休暇の他に慶弔休暇等の特別休暇制度を設けている企業は多いと思います。ただ、休暇の対象者や日数や休暇中の賃金の支払いの有無などを明確にしておかないと思わぬトラブルになることがあります。
◆特別休暇とは
特別休暇は法令に基づくものではなく、福利厚生の一環として恩恵的に与える休暇ですので必ずしも設ける必要はありませんが、制度として設けている場合には休暇の扱いを規定に載せる必要があります。規定する際は運用が曖昧にならないようルールを明確にしておく事が必要です。
◆慶弔休暇の考え方
会社によって特別休暇は様々な制度がありますがどの会社も設けているのは慶弔休暇でしょう。従業員が慶弔の為に休暇を取った場合、賃金の支払いの有無は会社で自由に決めておく事が出来ますが、無給の特別休暇の場合、年次有給休暇が残っていればそちらを取得するでしょうし、特別休暇としての意味もあまりないものと思われます。特別休暇の本来の趣旨である福利厚生という観点から見れば有給にすることが適当かもしれません。
◆特別休暇制度の規程の注意点
特別休暇は項目ごとに○日と決めてあると思います。特別休暇中に土曜日や日曜日を挟む場合は休日をその日数に含めるのか含めないのかも問題となります。もともとの休日である日は労働義務のない日であり、休暇の考え方は無いものと思いますが特別休暇は会社が自由に決めてもよいので土日を含んでも構いません。また、休暇は連続取得に限るのか分割取得は可能かということもあります。さらに取得できる期間はあるのか、対象者は正社員だけかアルバイトやパートにも適用するのかなども規定することが大事でしょう。
◆慶弔休暇の規程は曖昧さをなくして
例えば休日を含むのであれば ・「特別休暇は暦日で計算し、休日も含む」 ・「本人の結婚の際は連続7暦日(入籍日より半年以内の取得に限る)」 ・「配偶者、子、実父母の死亡の際は死亡の日より連続5暦日、但、本人が喪主の場合は7暦日」 等として具体的に示しておくのが良いでしょう。
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◆60歳以上の給与と年金制度
働きながら年金を受給する在職老齢年金は現在60歳から64歳の会社員は月給と年金の合計が月28万円を超えると年金が減額する仕組みとなっています。先ごろ厚労省はこの制度の見直し案を発表しました。現行制度では60歳から64歳の場合、月給+年間賞与の12分の1の合計額が28万円を超えると超えた額の2分の1が年金より減額されます。65歳以上はこのラインが46万円を超えた時に減額されます。
◆制度改革の見直し案は?
この減額が高齢者の働く意欲を妨げているとの考えから見直し案では次の案が出されています。その案は60歳代前半の人の減額する基準額を
①65歳と同じ46万円に引き上げる。
②60歳代の給与の平均額33万円に引き上げる。
③60歳代前半は年金の調整を廃止する。
以上の3つの案は年金の減額幅を縮小する為、働く高齢者の年金が増え、勤労意欲が向上し、60歳以上も働き続ける人が増えるという見方があります。
一方で現在は60歳から64歳の方の約120万人がこの制度で年間約1兆円が減額されていると言います。ですから調整廃止や縮小をすれば労使とも負担が増える事は必至となり、反発が予想されます。
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◆支給開始年齢の引き上げも検討
厚労省は長寿で年金の受取期間が長くなっているため財政の悪化を防ぐために年金の支給開始年齢の引き上げも検討しています。1歳の引き上げで国の負担は年0.5兆減るとみています。但し年金受給者の多い団塊の世代への影響はなく、引き上げ案のうち最も早い時期の案を採っても平成24年の実施で、現在53歳以下の方の開始年齢が遅れる案となっています。若年世代に痛みが集中する形となり、引き上げも難しい状況で実施までには紆余曲折がありそうです。
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◆家族従業員は労働者か
家族で商売を行っていて、家族従業員が事業主と同居している場合には、原則として労働基準法の「労働者」ではありませんが、別居している場合は他の従業員と同様の「労働者」として扱うことが出来るとされています。
◆同居の親族が労働者となる場合
事業主と同居の親族であっても次のような条件をすべて満たせば、労働者として扱われます。
①同居の親族の他に一般従業員がいる事。
②就業実態が事業場における他の従業員と同じである。(例えば一般事務や現場作業などに従事している)給料もこれに応じて払われている事。
③労働時間や休日、休暇の管理や給料の決定計算方法が明確に定められており、その管理が他の従業員と同様になされている事。
④業務を行う上で事業主の指揮命令に従っている事。
◆万一、労災が起こった時は
家族従業員は労務管理上の問題は起こらないと思いますが同居の親族は原則労災保険の対象者ではないので業務中に事故が起こった時に労災保険が使えるかどうかという問題が考えられます。そのために家族従業員にも業務災害をカバーする保険をとり入れる必要があるでしょう。 もちろん過去の申請例では家族従業員全てが労災適用されていないわけではありませんが、適用されなかった事も多く、万一を考え対策をしておきたいものです。
◆家族従業員の業務災害対策
業務災害に対する備えとしては、働き方を決めておく必要があるでしょう。
①従業員として扱うのであれば、前述のような同居の親族の適用要件を満たすような、労務管理や勤務体系にしておく事。
②従業員扱いであり、他にも従業員がいて、働いている場合で労災保険の特別加入制度に加入して、適用を受ける。
③公的な労災保険の適用は受けないのであれば民間の傷害保険に加入する。この場合特別加入制度の上乗せとして、民間保険加入という方法もあるでしょう。
いずれにしても事業主は家族である配偶者や後継者となる同居の親族の労災保険をどう取り扱うかを考えておく必要があるでしょう。
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