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社葬と税務について2015年03月10日(火)

 

Q .社葬に要した費用は、経費として認められるのでしょうか?

 

 税法では、①社葬を行うことが社会通念上相当であると認められ、②社葬のために通常要する費用であれば、福利厚生費、社葬費用として損金算入できる、ということが認められています(法人税基本通達9-7-19)。

 ①については、死亡した役員の死亡事情、生前における会社への貢献度(会社における経歴や地位)などから判断されます。

 ②については、社葬費用は本来会葬のための費用を指し、遺族が個人的に負担すべき費用は認めないとされています。

 ただし、あくまでも会社の規模、死亡した人の社会的地位や功績から見て、妥当と認められる範囲において損金として取り扱われます。過大な葬儀費用や葬儀に含まない費用を会社が支払った場合は、死亡した本人への退職給与または賞与として取り扱われることもあるので、注意が必要です。

 

Q .社葬費用を損金経理するため準備すべきことは?

 

 社葬の費用を損金とするためには、社葬を執り行うことを決めた取締役会の議事録が必要です。議事録がないと、いくら経費としての領収書がそろっていても、否認されます。

 議事録の作成が事後になることもありますが、本来は事前(死亡~葬儀までの間)のものでなければなりません。

 

Q .社葬費用として認められる範囲は?

 

 社葬費用として税法上認められているものを列記すると、

 ①葬儀もしくは葬送の際、またはこれらの前における埋葬・火葬・納骨、または遺体遺骨の搬送その他に要する費用(火葬式と本葬式にあっては両者の費用)

 ②葬式に際し施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして、相当程度と認められるもの

 ③前2項に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で、通常葬式に伴うものと認められるもの

 ④死体の捜索または死体もしくは遺骨の運搬に要した費用

となります。

 具体的に言えば、葬儀社への支払い、式場の賃借料、僧侶神官等に対する謝礼及びこれに付随する費用、通夜の接待費を含める葬儀終了までの飲食物の費用、葬儀に要した弁当代、交通費、事務用品、諸心付等の雑費、遺体の搬送費などがあげられます。

 

Q .社葬の費用のうち、認められない経費は?

 

 税制上、基本的な見解として「亡くなられた人の葬式に要する費用は・当然遺族が負担すべきである」という立場から「社葬費は社葬に直接関係あるもののみとし、場合によっては布施や戒名に要する費用、密葬・茶毘に要する費用等は、遺族が負担すべきである」とされています。死亡時の病院等に対する費用及び自宅における密葬等は遺族側の負担とし、社葬費用としては本葬儀の通夜及び当日分のみとはっきり区分して考えた方がよいでしょう。

 また葬儀の関連費用の内、主として法要・法事などに要した費用、香典返し等の返礼に要した費用、仏具仏壇等の費用、墓地霊園などに関する費用など、葬儀の後に行う費用は認められません。「葬儀当日までの費用は認められるが、葬儀後の費用については認められない」と心得ておきましょう。

 

Q .寺院へのお礼は全額社葬費用として認められますか?

 

 僧侶へのお礼のうち、社葬に関する読経料や交通費の部分は社葬費用として認められますが、戒名に対する金額は遺族が負担することになっています。したがって、「戒名料」(遺族負担)、「読経料」(会社負担)を別々に用意されるとよいでしょう。

 なお寺院へのお礼は領収書をいただきにくいものですが、なるべく領収書かそれに類する支払書をいただいておきます。

 

Q .精進落としの料理は、社葬費用として認められますか?

 

 精進落としは、本来遺族が行うものとされていますが、会社関係者の出席者数に相当する金額を負担する場合は、社葬経費として認められます。ただし、全額を会社で負担した場合、出席者のうち得意先などの関係者分を交際費、親族分を故人の役員賞与と裁定された例もあります。酒食を伴う場合は交際費として判定される危険性もあるので、注意が必要です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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カテゴリー:税務
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