「人生の節目」に気づきを与える年齢別教育の効能2011年11月30日(水)
経営に関するコラムです。
「結局“人づくり”なんだよ・・・」、経営の問題を社長と語るとき、必ずと言っていいほど口を突いて出てくるのがこの言葉です。
企業が成長するためには、社員に対する教育投資が欠かせないことは誰もが認識しています。とりわけ、現在の閉塞した経営環境を突破する力量を持った、逞しい次世代人材を育成することが、経営の最も重要なテーマと言ってもいいでしょう。
一般的に企業で行われている教育は、階層別研修、専門別研修が最も多く、様々な教育手法が開発され企業に導入されています。その中で、三菱電機の“年齢別研修40歳・25歳向け追加“についての新聞報道が目を引きました。従来から導入されている30歳向け研修に加え、40歳には、後輩への指導力強化として、自らの成長のきっかけとなった出来事を振り返って、後輩への関わり方を学びます。更に安全衛生・品質管理も盛り込まれます。また25歳向けには、企業倫理や、個人情報保護、経理などの基礎知識、ビジネスマナーや文書作成、プレゼンテーション技術などの知識を学ぶとあります。
“年齢別研修”というのは聞き慣れないかもしれませんが、長年、企業の人材育成に携わってきた者として感じたことは、従来の階層別、専門別の教育に加えて、今回の記事にある“年齢別教育”が今後益々重要になってくるのではないかということです。
実際に、ある企業において、「人生の節目」と「キャリアの節目」がクロスする年次に、階層別教育とは別に、「キャリア形成教育」を体系化したことがあります。そこでは、入社後はじめて役職を任命される直前の入社5年目、27歳と、役職に就き、転職を含めキャリアについて悩む年頃にあたる、入社8年目、30歳のタイミングで実施しています。いずれも、会社の人事システムを改めて確認し、自らの役割を自覚すると共に迷いを払拭し、自らの仕事人生を主体的に考えさせることを狙いとしており、実際この会社では、教育の導入によって、中堅社員の成長促進と退職防止に効果を上げています。
今回の三菱電機の“年齢別研修”も、新たに設定した40歳、25歳という年齢に、会社の問題意識や意図が込められていることは間違いありません。
いずれにしても、定年年齢の上昇と共に仕事人生が伸びる中、人材教育のあり方も変化していかなくてはいけません。その方法論として、長い仕事人生を、最後まで活き活きと働く社員を育成するための、「人生の節目」に気づきを与える教育を取り入れることは有効だと考えられます。
これから年度末にかけて、来年度の教育を考える季節です。是非ともこの時期に、自社の人材教育に関する問題点を洗い出し、真の“人づくり”を実現する教育計画を立てて頂きたいと思います。(了)
(記事提供者:アタックス 北村 信貴子)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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