事務所移転の際の経理チェックポイント
事務所が手狭になった・賃貸契約が切れた等、事務所移転をする際に、様々な経理処理が発生します。旧事務所・新事務所と区別して見ていきましょう。
旧事務所の保証金・原状回復費用・廃棄
引っ越す際に「原状回復費用」を負担することになりますが、これは「修繕費」として計上します。
通常は契約時に払った「敷金・保証金」(以下「保証金等」)と相殺されて、原状回復後に残金があれば返金となりますが、この際は預けた「保証金等」と返金された残金との差額が修繕費となります。
「礼金または権利金」(以下「礼金等」)については契約期間で均等償却をしていますが、帳簿上に残額があれば全額費用処理できます。
旧事務所から新事務所に持って行かない固定資産は、廃棄処分となるでしょうが、この際には固定資産除却損として経理処理できます。後の税務調査のために廃棄証明書等を発行してもらいましょう。
新事務所の保証金・引越費用・改装費
新しい事務所の「保証金等」は、資産として費用にはなりませんが、一部返還されない部分がある場合には、「礼金等」として契約期間で均等償却を行います。ただし20万円未満の「保証金等」については一括で費用とする事が可能です。
引越費用は「社会通念上妥当な金額」であれば費用にできます。同じく、不動産屋に支払う仲介手数料についても全額費用にできます。
新事務所における内装工事やパーテーション工事は、修繕費ではなく、資産計上とします。ただし、資本金1億円以下の青色申告中小企業者等については、1個又は1組の価格が30万円未満の固定資産については年額300万円までは、少額減価償却資産として費用とできます。
届出もお忘れなく!!
事務所移転の変更登記だけでなく、税務署・都道府県や市区町村への届出もお忘れなく。申告書や年末調整などの書類を受け取るためにも、忘れずに届出をしておきましょう。
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中小企業倒産防止共済の掛金引き上げの施行日は政令委任になっていましたが、ようやく9月16日この政令が公布され、10月1日施行と定まりました。
この政令の基となる法律「中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律」は平成22年4月14日の成立です。鳩山内閣のときです。それから1年半、菅内閣を経て野田内閣まで、随分待たされました。
◆改正法施行の内容
改正新法により、毎月20万円以内の掛金を、総額が800万円になるまで積み立てることができます。また加入者は、取引先が倒産した場合に、積み立て掛金総額の10倍の範囲内(最高8千万円まで)で回収困難な売掛債権等の額以内の貸し付けを受けることができます。
◆毎年240万円の損金算入積立金
この共済掛金は掛け捨てではありません。それなのに、全額損金(必要経費)になります。1年分前払いの場合には短期前払費用の損金算入の適用もあります。
得意先倒産リスク管理用積立性保険に加入することを兼ねて、純粋に節税商品としてこれを利用することは可能です。
◆知っておくとよいこと
解約は自由です。ただし無利息です。40ヶ月以上積み立てれば100%戻ります。40ヶ月以内の解約は損をします。
共済掛金積立額の10倍までの貸し付けを受けても、無利息となっていますが、共済貸付金の10分の1の掛金が没収となるので、全体で10%の利息となります。最長期間7年で返済するとなると、年利2.857%に相当します。
◆申告に際しての留意点
掛金の損金(必要経費)算入の適用要件として、明細書の添付が要求されています。法人税の場合は別表十(九)が用意されています。
また、任意解約による積立金の返還金は益金(収入金額)となるので、解約のタイミングも留意事項と言えます。
◆小規模共済・中退金の施行は?
なお、同時期に改正された、小規模企業共済への加入者枠拡大、中小企業退職金共済への加入者枠拡大については平成23年1月より施行されています。
参考:中小機構「倒産防止共済」
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前回の義援金の税務上の取り扱いの補足、救援物資の会社経理と法人税の取り扱いをご紹介します。
(送 り 先)
国・地方公共団体・・・「国に対する寄附金」となり、全額損金。
仕訳:寄附金/現預金・経費×××
上記以外・・・「一般の寄附金」となり、損金算入限度あり。
仕訳:寄附金/現預金・経費×××
法人が不特定又は多数の方を救援するために緊急に自社製品等を提供した場合
・・・「寄附金」「交際費」に該当せず、「広告宣伝費に準じた費用」として全額損金。
仕訳:広告宣伝費/製造原価×××
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この3連休で所属団体の募金活動に参加してきました。お子さんからお年寄りまで、たくさんの方々に募金をしていただき、山形の皆さんの何かしたいという気持ちがひしひしと伝わってきました。皆さんの想いは、必ず被災地に届けます。ありがとうございました。
今、個人でできること
①省エネ
②救援物資
③義援金
今回は、義援金の税務上の取り扱いを紹介します。
取り扱いは、個人(所得税)と会社(法人税)で異なります。
(1)個人(所得税)・・・確定申告をすることにより、次の金額を所得金額から控除することができます。
寄附金控除額=特定寄附金の額(所得金額×40%を限度)-2,000円
特定寄附金とは、
① 国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等
② 日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの
③ 社会福祉法人中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」として直接寄附した義援金等
④ 社会福祉法人中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」として直接寄附した義援金等
⑤ 募金団体を経由する国等に対する寄附金
上記以外の義援金は、所得控除ができませんので、ご注意ください。
(2)会社(法人税)・・・「国等に対する寄附金」、「指定寄附金」に該当すれば、全額が損金算入することができます。
「国等に対する寄附金」・・・上記①②③⑤
「指定寄附金」・・・上記④
①から⑤以外の義援金は、「一般の寄附金」に該当し、一定の損金算入限度額が設けられており、全額損金算入できない場合もありますので、ご注意ください。
※(1)(2)のどちらも、支払った証明書、領収書の添付、保存が必要になります。
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